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白衣「名前?私は平田誠治という名前ですが、それが何か?」 いぶかしげに敷徳を見つめる。 敷徳「失礼しました、気になっただけなので(平田という人物は事件にはいない。 僕の方が感情的に動いているな…)」 二夫「大丈夫ですか?」 二夫が敷徳の席の近くの方に座って、問いかけた。 敷徳「ああすまない、そう言えば貴子・貴文・牧子さんは別室に移動したんだよね?」 二夫「そうですね…あの僕と文也さんは、席の移動後に平田さんにある問いかけを受けたんです。」 敷徳「どのような質問を?」 二夫「村の住民・県警・茜さん担当の村の医者、事件関係者は本当に事件を解決する気でいるのかと? 危険人物の放置も違和感があり、それに事件関係者のほとんどが他者を攻撃する論争しか起きていない。 自分も怒りから感情的になっている事は反省点ではあるが…と言っていました。 それにこれは僕からの質問ですが…敷徳さんは何故、柿沢牧子と一時的とはいえ協力をするんですか?」(編集済)
敷徳「毒を持って毒を制するです。この事件の関係者は全員何かしらの罪を負っています。解決するには毒と毒をぶつけ合って、隠れた真実を炙り出すしかないのです」
二夫「敷徳さんは、僕も罪を負ってると思ってますか?」 敷徳「いいえ、現時点で唯一思ってませんよ。一夫さん」(編集済)
二夫「(文也さんが僕に言っていた事を、敷徳さんに言うべきだろうか。 兄が亡くなる前に、決着をつけたい人物は助けたい人だと言った事を…)」 二夫は複雑そうな表情を浮かべながら、考え込んでいた。 考え込む中、平田先生が出てきた。 平田「配布用の資料の印刷中に機材トラブルがでた為、機材の確認から少し遅れる事をお詫びする。」 二夫「(機材トラブルか、ただ平田先生の表情が暗かったような…あっ?)」 飲み物を買いに行った二夫は、みちるに遭遇する。 みちる「あっ…もう敷徳さんの前に二夫さんに言おうかな…私が知っている一郎さんの事。 何か一郎さんもだけど…敷徳さんも信用できなくなって。」 二夫「みちるさんも…ですか?」 みちる「一郎さんは記憶障害を逆手に…自分が有利になるように物事を進ませていたと思う。 あと貴子さんを捕まえた時、昔の怖い一郎さんが出ていたから…」 加奈「(どうしよう…出るに出られない。)」 牧子の様子を見に行く途中、加奈は二人の会話を故意に聴いてしまった。(編集済)
みちる「二夫さんは何故敷徳さんを信用できなくなったんですか?」 二夫「僕を試してるんです。わざと一夫といい間違えたりして。熊野刑事に対してもですが、ボロを出させるために怒らせてます。これでは険悪になるだけで誰も心を開きませんよ」 加奈は二人の前にズカズカと割って入った。 加奈「敷徳さんは不器用なだけなんです!」 (編集済)
二夫「加奈さん、聴いてたんですか(不器用って、えっ…そうなのか?)」 みちる「あのね、私達はこの状況に置いての話し合いをしていて…(ああ、やっぱり好きなんだ)」 何かを感づいた二夫とそれを察したみちるは表情には見せず、加奈に問いかけた。 加奈「すみません熱くなりすぎて、ただ敷徳さんよりも気になる人は他にもいますよね? 私の中では熊野刑事が…立ち上がる時のよろめきとか、一夫さんの現場に居合わせた状況とか。」 二夫「確かにあの挑発は気になりますし、兄さんだけでなくシク村長の時も…」 みちる「その後は熊野刑事黙ったままよね、一郎さんもだけど。 要するに加奈さんが言いたいことは、熊野刑事が一番怪しいっていう事? うーん…まだ時間ありそうだから、加奈さんにお願いがあるんだけど…敷徳さん抜きで柿沢牧子に会わせて。」 加奈「えっ、何でですか?」 みちる「これは仮説だけど…一郎さんは花の副作用で記憶障害の悪化があったでしょ? でも正確には…私もその影響で記憶障害が起きていたかも…」(編集済)
加奈は牧子に会わせる事にした。 みちると牧子のいる別室に入った。 加奈「先生、みちるさんが話をしたいと」 牧子「話せる内容なら構わないわ」 (編集済)
みちる「私は元々一郎さんと共に、この村を潰す目的であなたにも近づきました。 私は、その際あなたに【久志吐の花】と同じ系列の花を貰いました。 でも本当は、それは一郎さんが貰ったのではないのですか?」 一瞬の静寂が流れる中、牧子は告げる。 牧子「それは、あなたも気づいているはずでしょ? ただあの男と私は敵対関係とだけ…今度は私からの質問に答えてくれないかしら?」 みちるは牧子の方を見つめ、頷く。 牧子「茜さんを監禁した指示者は…あなたではなく烏丸一郎よね。 でも、茜さんはあなたに閉じ込められたと言っている… 茜と烏丸が主犯という仮説も、考えた方が良いんじゃないの? 結局、あなたは烏丸に利用されているのを理解しているかしら。」 みちる「一郎さんの昔の話と奇譚の内容の違いに、違和感は感じていました。 ただ…言葉巧みに人を導いて、掌握するの楽しいのあんたは…加奈さんを利用してまで。」(編集済)
牧子「この村に生まれた以上、闇社会と関わらないで生きていくのは不可能。私の側にいたほうが加奈にとって安全だわ」 加奈「先生・・・」 そこに警官が入ってきた。 警官「平田さんの準備が終わりました。これが資料です」 牧子「ありがとう。このままモニターで参加するわ」 みちる「私達は、大広間に戻りましょう」 二人は大広間に戻った。 大広間に着くと、椅子に資料が置かれていた。 平田「それでは再開しましょう」 (編集済)
平田「この資料は奇譚の唯さんの事件を抜いたものです」 敷徳は一通り読んでみた。 敷徳「やはり違うな」 二夫「どういう事です?」 敷徳「奇譚と貴文や貴子、桃香の証言は食い違っている。合ってるのは唯が水に浮かんで死んでた事だけだ」(編集済)
二夫「桃香さんの証言というのは?」 敷徳「ああ、さっき二夫さんが飲み物を買いに行く間に聴いたんだよ。 唯さんの事件の時に、館長・貴子・シク村長以外で大人はいなかったかと? お別れ会には紗矢さんの引き取り側の人物、風祭与平、唯さんの祖父母も参加していると思って。 ただ彼女からは唯さんの事は奇譚を見て知り、私と父はお別れ会には参加していないと言っていたが…」 二夫「そうですか、ただ紗矢さんと真由子さんに関してはこの資料を見ると。」 唯の事件資料にはこう記載されていた。 事件当日・お別れ会には真由子と紗矢、シク村長・貴子・貴文・館長・館長の施設の子供達・施設の関係者・唯・唯の祖父母・与平が参加していた。 紗矢は翌日館長の斡旋で、東京のある財閥の養子になる予定だった。 唯の死因は溺死で、目撃者の真由子と紗矢はずぶ濡れの状態だった。 また唯のトンネル内のある個所がふさがれていた為、唯はトンネル内で迷った可能性が高い。 館長「違う…違う…違う…俺は貴子さんからトンネル内の道を分かりやすくさせる為に頼まれただけで… なあ貴文、お前もそれを手伝ったよな?」(編集済)
貴文「俺は何も手伝ってねえ!」 館長「子供の頃だから忘れてんだろ」 貴文「いいや。唯ちゃんを探してた記憶がある。女児と唯ちゃんが水の中にいた。唯ちゃんは赤い服を着てたから間違いない。女児は青の服で紗矢か真由子のどっちかだ。お揃いの服だから」 二夫「それでどうなったんだ?」 貴文「その後、もう一人の青い服が来て水に入った。少しして二人で悲鳴を上げたんだ。俺も遠くから見てたから細かい動きは分からない」 敷徳「それなら殺したと言い切れないはず」 貴文「いいや。もし溺れたのなら、すぐ側にいて何故助けない?オカシイだろ」 (編集済)
館長「恐怖で、すぐに助けに行けなかったんじゃないのか。」 二夫「ただ館長の証言に関しても、真偽は難しい部分もあります。 前に唯さんの話をした際は、トンネルは一本道と言ってましたよね?」 館長「それは…お前は貴文を信じるのか、お前は俺の事が憎いからか二夫!」 二夫「気になった点を挙げただけで、喧嘩腰にならないで下さい…」 冷静に対応する二夫とそれに対して対照的な館長を観察しながらも、敷徳が告げる。 敷徳「資料の続きだと唯さんが出た出口は、貴子がいた出口とは別の場所の様ですね。 そこは視界も悪く、川とは近い所にあると。」 牧子「そう見たいね…ねえ紗矢さん、貴子は信用できないし、真由子さんも記憶障害の影響があるから… 事件解決としては、あなたの証言が欲しいんだけど?」 紗矢「私達は…唯ちゃんを探していました、途中別れる形で。 その探している途中…真由子の悲鳴が聞こえた方向に向かうと、唯ちゃんは水の中で… 真由子は唯ちゃんを助けようとして水の中にいて、私も続けて…でも唯ちゃんは。」(編集済)
二夫「もしかして事件性は無いのかも」 敷徳「いや、トンネルの分岐が気になるな。何故わざわざ作ったのか。何故唯はそっちに行ったのか」 二夫「誰かがトンネルの中で誘導した?こっちに新しいトンネル作ったよ。こっちの方が見つからないよって」 (編集済)
二夫「館長、貴方だな。本来の道を塞ぎ、戸惑う唯ちゃんに声をかけて」 館長「だから何だ?見つかりにくいトンネルを作って誘っても溺れたのはワシのせいじゃないだろう。より面白くするために工夫しただけよ」 貴子「ええ。余興を面白くしたい一心だったわ。私が唯をトンネルから出したのは事実よ。私がいたのは新しい出口だったのよ。思い違いだったわ。でもそれは溺死とは何の関係もないでしょ」(編集済)
牧子「新しい出口にいたなら、どうして唯さんは水に浮かんでいたのかしら?」 貴子「喋らないでくれる…あんたの声を聴くだけで。」 牧子「それに新しい出口に唯さんを誘導しても、前の出口にも人を待機させるべきでは?」 貴子「そこには館長がいたのよ。 捜索は施設のスタッフがやってくれたのよね。」 館長「ああ、そうだ。」 つじつまを合わせる形の2人に、茜が語り始める。 茜「何かかばい合っているみたい…お二人が唯さんを事故に見せかけて殺したんですか?」(編集済)
貴子「何か私達にメリットがある?」 館長「そんなリスクを犯すほど唯は重要人物なのか?唯が居なくなれば何が変わる?」 敷徳「シク村長が地下道を通す見返りを唯の祖父母に与えていた。祖父母が亡くなれば唯が受取人だ。後先短い祖父母より唯が邪魔なんだ。村長一味である貴方達が金塊を独り占めしたかったんだ」
タケル「あのさ、気になる事あるんだけどいいっすか? シク村長の一人称「ワシ」から、資料では唯ちゃんの話から「俺」になっているの何で?」 桃香「そんなのどうでもいいでしょ、ねえ黙ってくれない?」 ほとんどの周囲が再び呆れる中、桃香が一応対応した。 タケル「だって書いた時の時系列って変じゃね、「ワシ」っていつ書いたの? あとさぁ金じゃなくて…唯ちゃんが【久志吐の花】を知らずに見てしまった口封じパターンは だって金塊を独り占めって、シク村長生きているから、その時点で無理じゃん。」 ?「(余計な事を、ただのにぎやかしの馬鹿だと思ったが)」 周囲がタケルの発言に考え込む中、ある者が問いかける。 みちる「(ねえ…今タケルの方を睨んだのは…何で一郎さん?)」(編集済)
みちる「(何か都合の悪い事を言ったのかしら?)」 敷徳「筆跡はシク村長と変わらないから別人が書いたわけでは無いと思います」 タケル「ふーん。例えばシク村長が誰かから命令されて書かされてたとしたら?せめてもの抵抗でワシを俺に変えたとか」
烏丸「命令とはどういう意味かな?」 タケル「えっ、だから脅迫されたから。」 烏丸の突然の問いかけに、少し動揺するタケル。 烏丸「それに【久志吐の花】の価値がある理由はお金以外だと何かな…タケルさん。」 タケル「いや、それは…」 烏丸の追求にタケルは更に動揺し、敷徳も問いかける。 敷徳「烏丸さん?」 烏丸「あっ、伝え忘れていた事が一つ。 先ほどの戸惑いは記憶障害での情けなさからで…皆さん、混乱させて申し訳ない。 敷徳さんと同じく、事件を解決したい思いは同じですから。 ただタケルさん…これは仮説だが君は貴子や館長と同じく【久志吐の花】」に魅了されたのかな? みちる「(何を言っているの?それにこっちに一度も目を合わせてない…)」(編集済)
タケル「親父、つまり祖父のすばるが興した山中組が花で勢力を拡大したのは事実だ。魅了されたというより、感謝してるかな。いい生活させてもらったし」 敷徳「何故、祖父を親父と呼ぶんだ?」 タケル「俺の両親が早くに死に、すばると養子縁組したからだ。形式上の父親だ」 烏丸「ふふふっ」 (編集済)
タケル「何がおかしい!」 烏丸「変じゃないですか?同じ村でこんなに両親の早死にが相次ぐなんて?タケルさんは両親の死を直接見たんですか?」 タケル「いや、物心付いた頃には両親はいなかった。すばるから聞かされたんだ」 (編集済)
烏丸「そういえば、紗矢と真由子の両親は逃亡した後、どうしたんでしょうね〜」 タケル「どういう事だ!」 烏丸「夫婦にはその後男の子が出来た。ところが逃亡生活で生活は貧困を極めた。困って闇社会に人身売買したんだとしたら・・・」
タケル「そんなの…お前のただの妄想だろ、有名な画家が探偵気取りか。」 烏丸「私の妄想なら何故、紗矢さんと真由子さんの名前が出ただけで、更に感情的になるんだい?」 タケル「だから、唯っていうガキの事件関係者だからだろ。 貴子と館長が【久志吐の花】」の出所がばれて、それでガキを殺したんでもういいんじゃねえの?」 烏丸「それが君の中での、唯さんの事件の真相か。 ただ君はとても愚かだ…そもそも【久志吐の花】に世話になっている発言の時点で、君は罪人確定だ。 他の人達は未遂・確証を持てない部分もあるが…君は警察に捕まるのが分からないのかな、タケル君。」 タケルが青ざめて声を荒げ、烏丸の首を絞めようとするが警察に取り押さえられ、タケルは連行された。 貴子と館長の表情は暗く、一同に静寂が流れる中、烏丸は一瞬だが笑みを浮かべた。 敷徳「(何で僕が整理した山中タケルのメモの内容を、烏丸は知っているんだ…加奈さん?)」 考え込む敷徳に加奈は語りかける。 加奈「(あのタケルさんが連行される時…一瞬ですけど笑みを浮かべたんです…紗矢さん。 朗読会の途中にも、私にも一瞬だけ睨んで問いかけを…)」(編集済)
敷徳「(旅館に泊まった時に紗矢に隙をみて見られたか。そして情報を烏丸に。加奈さん、紗矢の問いかけの内容は?)」 (編集済)
加奈「(私の事を呼び捨てにしたんです、お母さんの言い方を真似する形で。 そしてその後[大丈夫よ、私は真由子と雷太とあなたは絶対に守ってあげる。 でもあの女を信じ続けたら…加奈、分かっているわよね?]って)」 敷徳「(あの女というのは牧子さんの事か…あれメール…非通知か。)」 加奈「(私の方にも来ていますね、えっ何で自動的に開かれるの?)」 差出人不明のメールには敷徳がフラッシュメモリーに登録した、自らの推理メモの最新版の一覧。 そして正岡の状態での牧子と貴子のやり取りと思われる映像とログの記載が送られた。 貴子[正岡さん、この薬で主人を殺せるの?] 正岡[はい…タケルのセミナースタッフを業者として侵入させ、椅子のカモフラージュ・飲み物の方も。] 貴子[あと奇譚内で死体偽装は私が考えたのではなく、茜の実の親の三浦夫妻が考えたって修正できる?] 正岡[はい…できますよ、あと唯さんの事件当時の館長の施設の職員リストも抹消しておきました。] 加奈「嘘…嘘よ、こんな事…先生がする訳…」(編集済)
加奈「(きっと紗矢さんの仕業よ!先生と私の仲を引き裂くために)」  加奈は紗矢の方を見た。紗矢はスマホを見たまま薄ら笑いをしていた。 敷徳「(残念ながら真実のようだ。映像に加工の跡がない)」 加奈「そんな・・・」 加奈は号泣してしまった。 周囲は何事かと騒然となった。 (編集済)
二夫「(一夫さんの事件は、瀕死の状態の一夫さんを閉じ込め、トラックを使って事務所まで運んだ。 一夫さんを出し、事務所の玄関近くに立たせて、ドアが開くまで支えたと仮定する。 その間の一夫さんはパニック状態となり…玄関が開いた瞬間に死角を見て、一夫さんの頭を…)」 震えながら、メールの内容を見る二夫。 桃香「(シク村長の事件映像において椅子に関してはダミーであり、コップがあった場所の防犯カメラは作動していなかった場合…まあ私は容疑者から外れたって言う事でいいのかしら?)」 冷静に黙読する桃香。 貴文「熊野刑事が…事件に関わっている可能性は高いが、問題は主犯は烏丸か…それとも…」 貴文は憔悴しながらも、資料と照らし合わせてメールを読んでいる。 烏丸「熊野にカマをかけることで、炙り出すか…私を疑うんですね…敷徳さんは。」 敷徳「(何故、スマホの方は完全にロックしパスワードも…)」 烏丸「それにしても機械関係に詳しいのは知ってはいたが…君は何でこのような事をしたんだ…みちる」 みちる「私じゃない…何でみんなして私を疑うの?」(編集済)
敷徳「誰だ。熊野、お前か!データを抜き出せるのは警察かプロのハッカーくらいだ」 熊野「ついにお前呼ばわりか。証拠もなく憶測で言うでないわ。それにこれを見ると敷徳はワシを疑ってるじゃないか。自分を悪く書いたのをバラ撒くか!」 紗矢「敷徳さんの推理はともかく、動画は決定的な証拠です。牧子と貴子は逮捕ですよね」
紗矢は微笑みながら、加奈に寄り添う。 紗矢「加奈ちゃん、泣かないで…(だから言ったでしょ?)」 顔を伏せて泣き続ける加奈、背後には雷太がある方向を見ている。 雷太「(・・・・・・)」 真由子「ねえ加奈、何であんた泣いているの? それにこれは何…亡くなった唯ちゃんの名前を出す時点で気色悪いんだけど。 あと実際は私ではなく、姉さんが最初に見つけたけど…本当に悪趣味よね、姉さん?」 紗矢「えっ…真由子…」 敷徳・熊野「(時間が来た、ワクチンが完全に効き始めた。)」 加奈「(あっ…この言い回し…お母さん、戻っている?)」 二夫「(雷太君が送ったメールのワクチンが効く時間帯…はあ良かった。)」 みちる「(でも一世一代の賭けよね…敷徳さんと熊野刑事が仲たがいで時間を延ばすのって。)」 原田「(だとすると…茜は…)」 牧子「どうやら回復した見たいね、真由子さん良かったわ。 それにしても…何を驚いているの紗矢さんと烏丸先生は?」(編集済)
紗矢と烏丸は一言も発せなかった。 茜「ヤッホー!みんな元気〜」 大広間に茜がやってきた。 原田「お前、医務室にいたんじゃ」 茜「退屈で仕方なかったよ。病人のふりなんてね」(編集済)
桃香「ねえ、どういうこと?」 貴文「何がどうなっているんだ?」 敷徳「あっ…すみません、お二人には言えなくて。 あと貴子さんと館長は…今地元の県警から取り調べを受けています。」 説明しようとする中、烏丸が問いかける。 烏丸「これはどういう事かな…僕も同じ協力者のはずでは?」 敷徳「休憩直後に、雷太君から僕らにメールが来たんです。 ワクチンが効く時間が来たら、真相は分かると。」 烏丸「はて、僕には来てないが?」 雷太「それはあんたとお袋が手を組んでいたからだろ…俺はお袋を疑いたくなかったけど。」(編集済)
紗矢「雷太!実の母を告発するの?」 雷太「俺はこの村の膿を出し切りたいんだ」 烏丸「みちる!夫を裏切るのか!」 みちる「裏切ったのは貴方でしょう。自分の胸に聞いて見なさいよ」 敷徳「真由子さん、貴方が見た事件を語ってくれないか?」
真由子「事件って、あまり思い出したくないけど…姉さんは大丈夫?」 紗矢「・・・・・・」 加奈「お母さん…お願い、話して。」 加奈の強い視線に、真由子は語り始める。 真由子「分かったわ、加奈。 確かあの時、私と姉さんは途中別れて唯ちゃんを探していたわ。 探している途中、川の方から何かが落ちる音が聞こえたの。」 敷徳「音…」 私は急いで、川の方に向かったわ。 川には姉さんと唯ちゃんが…姉さんと私は助けようとしたけど…姉さんも助けようして…そうよね姉さん?」 真由子の質問に、紗矢は冷酷に語った。 紗矢「助けなかったわ…だって真由子取られたくなかったから、唯なんかに」(編集済)
敷徳「それなら水に入らないはずだ。溺れてたから助けに行ったんだろうが」 紗矢「いいえ。助けるふりして止めを刺そうとしたのよ。真由子が来て断念したけど。そもそも何故溺れてたと思う?今、警察で館長と貴子が証言してるでしょうけど」 熊野「あの二人が素直に話すと思うか?貴方は実際に手を下してないのだから、正直に話してくれ。隠蔽は共犯になるぞ」 紗矢「二人で川に放り投げたのよ。多分貴子が唯をトンネルから出して館長と合流したんでしょう。私は探してる途中で、川に投げられたところしか見てないけど」 敷徳「館長と貴子は紗矢さんが見てた事を知ってるのか?」 紗矢「いいえ。すぐに立ち去ったわ」 (編集済)
貴文「なあ、もし投げられても…人工呼吸とかで助けられたはずだよな…」 貴文の力のない問いかけに、紗矢は告げる。 紗矢「真由子を奪われる嫉妬もあったけど…唯は生きていても可哀想だったから。 遺産相続をしても、あの汚い連中に人生を狂わせるだけ…楽にしてあげたい思いもあったかもね。」 苦笑いを浮かべた表情で、紗矢は語りだしている。 真由子「姉さん、嘘だと言ってよ…」 熊野「取り調べの連絡が来た…貴子と館長は【久志吐の花】を見られたから、唯さんを川に投げたと…」 敷徳「本当なんですね…紗矢さん。」 貴文「もう俺を殺してくれ…頼む誰か…」 紗矢「これが真相よ、貴文さんそんなに辛いなら…」 紗矢の微笑みに周囲が凍り付く中、雷太は紗矢に語りだす。 雷太「お袋…あんたは本当に俺の母親なのか? あんたが母親だとしても、父親は…事件関係者か。」(編集済)
紗矢「父親はこの中にいるわ。ねえ太郎さん?」 一同は一瞬誰のことを指してるのか分からなかった。たった一人を除いて・・・ 敷徳「・・・・」 その男の名は敷徳太郎。主人公を気取った探偵もどきだった。 (編集済)
雷太「ちょっと待ってくれよ。俺と敷徳さんではそんなに歳も離れてないのに親子は無いだろ。俺は敷徳さんが中高生の時の子なのか?」 (編集済)
原田「敷徳さんは確か40代で雷太君は20代、2人の年齢差を考えるとやはり信用できないな。」 茜「あの加奈さんから聴いたのですが、紗矢さんのご主人はがんで亡くなったんじゃ?」 紗矢「それは嘘よ、雷太にもそう伝えてはいたけど。」 烏丸「みちる、私の方を見たのは何故だい。」 みちる「いえ…別に(一郎さんと紗矢さんが組んで、私達を騙していると思ってはいるけど…)」 加奈「・・・・・・(嘘よ、こんな事)」 牧子「(そう考えると…彼は…)」 熊野「なあ…何か言ってくれよ、探偵。」 黙る探偵と思われる青年と周囲の動揺は計り知れないものがあった。 別室では文也が県警の質問に答えていた。 警部「ではあなたが見た、一夫さんが亡くなった日を改めて話してくれませんか?」 文也「はい…深夜の外の警備のバイト中、建物近くで物音がしたのでその方向に向かいました。 その建物からは返り血を浴びたと思われる人が見えました、すぐにその人はいなくなりましたが…」 警部は事件に関わった人物の写真を並べ、そこから文也はある人物の写真を指さした。(編集済)
警部「雷太君でいいのか?」 文也「はい。何処かで見たと思ったのですが、やっと思い出しました」 その頃、大広間では敷徳が語り始めた。 敷徳「紗矢さん、嘘はやめてください。もし、僕が夫なら村の誰も知らないはずない。結婚式や日常生活で会ってるでしょう。今までバレなかったのがおかしい」(編集済)
熊野「癌で結婚早々死んだ事になってたからでは?少しの期間しか村に居なかったから」 敷徳「仮にそうだとします。覚えてない人もいるでしょう。しかし、僕が整形でもしない限り村人全員はあり得ない」
熊野「整形の部分もおかしいと思っているが、何故探偵が父親なのかが分からん。」 茜「桃香さんに聴いてみる? あの人は紅琥村の人だし…不安だけど。」 桃香「聞こえているわよ。」 モニター越しから、桃香が呼びかける。 桃香「結婚相手の事よね? 都内から来た美大生とか指名手配犯とか色々、噂は飛びかかったけど…紗矢さんの旦那を見た記憶は無いわね。 ただ…時々貴子さんと亡くなった私のお母様が、紗矢さんの旅館に行き来していたのは見たことあるわ。」(編集済)
熊野は警察に電話した。 熊野「ちょっと貴子さんに変わってくれる?」 貴子「何でしょうか?」 熊野「唐突だか、紗矢さんの結婚相手は誰だか知ってますか?」 貴子「紗矢は旦那さんと二人だけでハワイで挙式をしたのよ。旅館に旦那さんはいつも不在で、紗矢は単身赴任なのと大きなお腹をさすってたわ。だから会ったこと無いのよ」 熊野「雷太君がお腹にいる時か。旦那さんの名前は分かりますか?」 貴子「教えてくれないのよ。だから村人達は不倫じゃないかって噂してたの」 (編集済)
熊野「紗矢さん、旦那さんの写真は無いですか?挙式のとか」 紗矢「しつこいわね。太郎が旦那よ、間違いないわ。ねぇ〜太郎さ〜ん」 紗矢は敷徳の元へ走り抱きつこうとした。 そこへ加奈が通せんぼした。 加奈「ちゃんと証拠を見せてください。写真は何処ですか!」 (編集済)
紗矢「はぁ、分かったわ。これよ」 紗矢は財布から一枚の写真を取り出した。それはハワイの挙式の写真だった。ウエディングドレス姿の紗矢の隣に写っていたのは!(編集済)
雷太「何だこりゃ」 男は帽子を被りサングラスにマスクをしていた。 紗矢「太郎さんは恥ずかしがり屋だから」 敷徳「いい加減、茶番は辞めたらどうだ。姿を隠さねばならない人間は限られている」 熊野「犯罪者か裏社会の人間か」 (編集済)
紗矢の暴走に一同は混乱する中、牧子が冷静に告げる。 牧子「所詮…単純な事よね、現在の彼女は過去のトラウマによる自己防衛から発生した現実逃避。 そしてこれまで記憶障害を演じてきた事によって、精神面に負荷も生じている。 その結果…現在の彼女は雷太君の発言から、妄想の世界が広がり始めている。」 敷徳(雷太君からワクチン接種後に、紗矢さんはある人物に暴言を吐いていた…もしかしたら父親は。)」 敷徳はある事が浮かんだが、それを言うのをためらった。 牧子「(あの写真は合成、一緒に写っているのは父親ではなくあの男… ただ敷徳太郎に関しても、ある違和感がここに来て広がり始めている。 次に触れられる事件は加奈の養父の雪村正造・雪村正次の事件、そこに一夫さんも関わっていたら…)」 考え込む敷徳と牧子に、雷太は紗矢に目線を向けて語りだした。 雷太「もしかして…俺の親父って館長なのか…お袋。 ワクチン接種後に、館長が来た時の暴言が気にかかって…違うよな?」(編集済)