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敷徳「何だ、この奇声は…ナオミどうした?」 ナオミは正造が声を発した瞬間に顔が青ざめている。 正造「思いだしたようだな、色々と。」 敷徳は倒れそうになるナオミを支え、ナオミの表情は怯えや恐怖が強く出ていた。 ナオミ「私達が会った正造は、正岡の狂信者でありあんたの影武者…」 節子「違うわ、私と信者達が正造を脱走させたのよ!」 正造「黙れ、お前も今の俺に取ってはただの足かせだ…ナオミ、よく聞け。 俺は南寅彦、お前の祖父であり実の父親だよ。」
ナオミ「ううっ。さっきの歌、子供の頃聞いた覚えがあるわ」 正造「フフフ。俺が考えた子守唄だよ。ついでに言葉の練習にもなるんだ。頭いいだろ」 敷徳「それなら、アイウエオだろ。いつの時代の人間だ?」 何気ない敷徳の一言だったが正造の顔色が変わった。(編集済)
正造「ワシを馬鹿にするな、若造。」 敷徳「今の発言で気になった事がある、加奈さんの親は烏丸先生と玲奈さんではないのか?」 正造「ああ…加奈はあの男と娘の玲奈の子だ。」 敷徳「それはおかしいだろ、ナオミの中には加奈さんの人格がある…2人は同一人物だとはわかっているだろ。」 敷徳の発言に、節子の方に動揺の顔が見える。 正造「ああ、玲奈はその後にワシを裏切って加奈を産んだんだよ…ところで加奈はどこだ?」 敷徳「あんた、大丈夫か?(本気でそう思っているのか、それとも罠なのか…)」 さつき(本気ですよ…能力は使えても術の副作用で認知症を…本当可哀想にね、寅彦さん。) さつきは正造には聞こえない形で淡々と語り、節子は正造…いや寅彦に憤りを見せていた。
節子「隣の若い男女は誰よ!」 若い男「僕は息子です」 若い女「私は娘よ」 (編集済)
正造「二人共、俺の子だよ。行きつけのバーのママとのな。度々会ってるんじゃ」 敷徳「(うーん、正造がボケてるんだとしたらこの二人何を企んでる?)」 敷徳は若い男女の顔を注視した。
二人はとても美形で正造ともナオミとも似つかなかった。 敷徳「お二人さん、名前は何と言いますか?」(編集済)
男「みちるです、彼女は成…と言ってもバイト中の源氏名ですよ。」 敷徳「バイトって君達は信者とかでは無いのか?」 女「その人達とは別ですよ、みちるや成という名前を名乗って、お爺さんの世話をすればお金が貰えるんで。」 女はそう言ってさつきの方を見つめ、さつきは警察関係者と話をしている。 さつき「彼らは私達がいない時に正造さんの面倒を見ている…ただ、それだけですよ。」 敷徳「(彼女やその仲間が、援助や仲介人をやっているのは間違いないか。)そう言えばナオミは…」 ナオミは牧子が眠るベッドの近くにいた。 ナオミ「(頭が混乱する…延命装置…これを停止すれば…)」
ナオミはスイッチを切ろうと指を伸ばした。敷徳はテーブルにあった果物を切る小型ナイフを投げた。あくまで注意を逸らす目的だったが的が外れ牧子の額に刺さってしまった。 プシューーーーー! 額から血が吹き出てナオミの顔を直撃した。
?「どきなさい!」 ナオミを払いのける形で、医者や看護士と思われる男女達が牧子の元へ向かった。 医者「延命装置は大丈夫か、出血量もこれなら…」 看護士「呼吸は落ち着いたようです。」 ナオミ「何で…この女の命を…」 感情的になるナオミを敷徳が支える形で、彼女にかかった血を拭いている。 敷徳「気持ちは分かる、だがここで僕らがやったら…正造達と同じだ。」 現在の状況にも動揺せずに、正造はナオミや敷徳を強く睨んでいた。 正造「おい、辞めてくれないか…こいつは大切なおもちゃなんだよ。」
敷徳「それがここまでして生かす理由なのか?」 正造「ああ。こいつに何の能力もなければ、わざわざ医療チームを作ったりしないさ。こんなに美味しい酒のツマミはないぜ」 正造はビールを一気飲みした。(編集済)
敷徳も続いて酒を飲み干した
正造「下戸か。真っ赤じゃねえか」 敷徳は構わず飲み続けたが、遂に吐き出してしまった。 正造「うわっ汚えなぁ。バカヤロー!」 酒が正造の顔や服にかかってしまった。正造は敷徳に殴りかかろうとするが動きが止まった。 正造「おいっ。何の真似だ!?」 敷徳はマッチに火を付けてニヤリと笑った😊
ナオミ「太郎!私に注意したくせに!」 敷徳「驚かしてスミマセン。でも、こんな低い度数じゃ燃えませんから」 敷徳はマッチの火を消した。 正造は失禁して気絶していた。 (編集済)
節子「情けない男は、でも見直したわ…敷徳さん、あなたはあの英雄そっくりね。」 節子が語りかけるのを敷徳は遮断し、ナオミの方に向かった。 ナオミ「どうしてあんな事を…加奈達の為よね?」 敷徳「行動を止める為だよ…烏丸さんや文也君…2人もここに来ているんですよね?」 敷徳が声を発した瞬間、2人は和室の大広間に現れた。 文也「真相を知りたいから…いや、仕留めたい気持ちですかね。」 烏丸「あの男には…どうしても…ただ、それは愚かな行為だったね。」 さつき「憎いなら狙っても構いませんよ、法の裁きでも発散できない恨みは持つなら…構いませんよ。」 さつきが微笑みを浮かべながら、敷徳は彼女に問いかける。 敷徳「君は本当は…恨みから正造や節子の終わりを望んでいたのでは?」
さつき「自分の事だけ考えればね。でもこれだけ多くの被害者がいるんだし、皆が納得出来る形にしないといけないと気付いたの」 文也と烏丸も頷いた。 敷徳「皆さんの方向性が一致しましたね。探偵としては有り難い状況です」 (編集済)
敷徳「さつきさん、君に二つ聞きたい事がある。」 さつき「何ですか?」 敷徳「一つ目は君の亡くなったお母さんと正岡一族の関係性、お母さんは信者だったのか?」 さつき「ええ、そうですよ…ただ母はそれに気づき、口封じとして父に…」 さつきはどこか淡々としながらも語り、節子は彼女を睨んでいた。 節子「お前、不幸ジャンキーも芝居だったのか!」 さつき「黙って下さい…敷徳さんそれでもう一つは?」 敷徳「井上一夫さんの亡くなった理由だ、節子はどうせ言わないからね。」 さつき「そうですね、理由は正造に節子は自分の夫の人格と記憶を埋め込む儀式を目撃したからです。 夫が亡くなっても、後釜は残したいと…ナオミさんは知らない事ですが。」
すると敷徳に電話がかかってきた。 敷徳「おやっ、二夫君ですね」 二夫『敷徳さん、驚かないで聞いてください。レオナさんが虎に食べられてしまいました!』(編集済)
敷徳「(こちらの映像は向こうにも見えるよな、さつきさんの発言を聞いて気が動転しているのか?) ただフラッシュバックとも違う、向こうの映像も見えるようだが…虎…うん?)」 向こうから流れる映像はレオナは意識はある物の担架で運ばれていて、虎は眠っている。 敷徳「二夫さん、いつからこんな事に?」 二夫「狂信者の見張りの際に、正造が歌いだした瞬間、目の前に現れて。 僕自身も取り乱しましたが、レオナさんの意識ははっきりしています…たださつきさんの話は真実なんですね…」 二夫の声は暗く、近くからナオミは警察関係者と話したのちに、節子に対して語りかける。 ナオミ「ねえ、正造の歌って私の人格の操作は可能だったら…正造をここに呼んでくれない?」
節子は気絶している正造にビンタした。 節子「いい加減起きなさい」
正造「ワシをはたくな、このバカ女が…それに、クソガキ‼」 目覚めた正造は敷徳にされた屈辱から、拘束の身に遭いながらも暴れていた。 敷徳「(感情の起伏が激しいな、ただ…)なあナオミ、先ほど言った人格操作って…」 ナオミ「(あのへんな歌の事よ、その際に記憶の混沌が少しあったのよ、だから気になってね。)」 正造「うん…ナオミどうした?」 正造はナオミを見た瞬間、穏やかな表情になり、彼女に訪ねた。 ナオミ「正造…様、私の他の人格があなたとお話がしたい様なのでお願いできますか?」 正造「ああ構わんよ、ならば…久しぶりにカナと話をするとしようか。」 正造はそう言って先ほどの歌を言ったのちに、ナオミはふらつきを見せて倒れたが、すぐに起き上がった。 敷徳「大丈夫か?(本当に変わったのか、)」 ?「お久しぶりですね正造…さん、まだ自分を寅彦様と思い込んでいるんですね…」 ナオミの口調はどこか冷静で落ち着いた口調ながら、静かなる怒りを漂わせている。(編集済)
正造「俺は俺だ。カナはカナのようにな」 カナ「しかし臭いですね。何とかなりませんか」 すると正造は服を脱ぎ始めた。裸になり廊下を歩きながら仲居さんを探した。(編集済)
仲居「ヒャッ!どうなされたんですか?」 正造「服をくれ。汚しちまってな」 仲居「地下に倉庫がありますので、そこに古着があったと思います」(編集済)
中居さんはそう言いながら前を隠すよう正造に手拭いを渡した
正造は着替えを済ませたのちに、仲居に訪ねる。 正造「おい、カナはどこだ?」 中居「彼女は上の方で待っているかと…えっ?」 仲居が語った瞬間、カナは隙をつく形で室内にいる正造に体当たりをし、彼のマウントを取った。 カナ「さあ、もう終わらせましょう。」 正造「カナ、お前…」 敷徳「辞めてくれ、その男から離れるんだ‼」 カナを追う形で敷徳が悲壮感と共に声を荒げる。 カナ「止めないで下さい、私は作られた人格だから…私がこの男を。」 敷徳「ナオミにも伝えていないのか…何故、自分一人で背負い込むんだよ。 カナは以前自分は消えると僕に言っていた…そうなると君はカナではなく…加奈さんだよね?」 カナ…いや加奈の眼は正造を仕留める覚悟を見せていた。
仲居「ひょっとして、シクトク村の加奈さんですか?」 加奈「へっ?」 仲居「やっぱり!仲居雑誌『なかい』の読モでしたよね〜🎵私、貴方に憧れて仲居になったんです!」
加奈「あの、邪魔をしないで…」 仲居「ええ、私はただ加奈さんに…背負って欲しく無いだけなんですよね。」 正造「女…お前、まさか。」 驚く正造を仲居は睨みつつ、正造から加奈を離れさせ、敷徳はすぐに加奈の手を取って移動した。 加奈「あの仲居さんは…月本成君ですよね…」 敷徳「ああ正岡に恨みを持つ者は多いからね、彼も来てくれたよ。 正造の拘束を解けるのは正岡の弟子のみ、ちなみに料亭の従業員はみんな警察関係だよ。」 加奈「私はこの手であの男を…」 敷徳「君には一瞬だが強い躊躇いがあった…月本がいなかったら、僕はきっと…今言ったのは忘れてくれ。」 ナオミはある賭けから君を呼び出した、それは…節子を降伏させる為にね。」
加奈「私は頭も体力も平凡な仲居です」 正造「へっ、それにしてはプロの格闘家の構えだったぜ」 (編集済)
加奈「体が自然に動くのよ」 敷徳「元々同じ人間なのですから潜在能力は同じはずです。人格によって引き出せる力の得手不得手があるのです。ナオミだったら、もっと機敏に動けるでしょうがね。でも加奈さんの武器は冷静な判断力です」(編集済)
加奈「冷静さでは、カナの方が高いですよ。」 敷徳「冷静さではね、ただ判断力に関しては君の方が高い。 カナは君やナオミの恨みを自分で行ってきた、自己犠牲が大きく、判断よりもそちらを優先している。」 正造「当たり前だ…俺達が生んだ物であり、全て優秀な…」 そう語りだして拘束を解こうとする正造を、月本が蹴り倒し、頭を押さえている。 月本「黙れよな、全く…まあナオの場合は僕が作り出した物であり、まだ幼いですからね。」 加奈「でも私だって恨みはありますよ、今回はきっと恐怖からで…」 敷徳「いや、君は気づいていないが、無意識にコントロールできているからだ。 それに今は記憶が共有している…だから正確に思いだしたんじゃないか、一夫さんが殺された場面を?」