すると、壁から音が漏れてきた。
野球帽の男「シックトック シックトック シックトック祭り〜(あっそーれ♪)
シックトック シックトック シックトック踊り〜(よいっしょ♪)」
なんと、野球帽の男はシクトク踊りを踊った!
原田「加奈ちゃん、どうしたの?」
加奈は釣られて踊ってしまった。
加奈「長年の癖で思わず・・・(-_-;)」
敷徳「まさかあの男シクトク村の出身か?」
やがて散会し、今回は野球帽の男の歓迎会に終始したようだ。
主宰「裏切り者共、とっちめてやる!」
主宰は立ちはだかろうした。
敷徳「主宰、熊野刑事からの電話です」
敷徳は主宰を引き止め、スマホを渡した。
熊野「怒りは分かるが、犯人かもしれん奴が混じっておる。彼らが集まる会を壊すのは今は得策ではない。分かってくれ」
主宰「くっ、分かりましたよ」
野球帽の男は、水色のベンツに乗って去っていった。
加奈「追いかけなくていいの?」
敷徳「実は車を観察した時、GPSを車の底に取り付けたんだ」
主宰「僕は帰るよ。今日は疲れた」
主宰はフェラーリで去った。
敷徳「僕らは事務所に戻ろう。今後の方針を話し合おう」
敷徳たちは事務所に向かった。
敷徳「さて、今後に関してだが、紅琥村も調べるべきか。」
熊野「紅琥村についてだが、秘湯マニアに有名な場所でシクトク村よりも規模は大きい。」
加奈「私の村の反対側は、へんぴな場所では無いけどそんな有名な所なんですかね?」
茜「ねえ紅琥村で検索したら、こんなつぶやきが出てきたんだけど。」
つぶやき「秘湯マニアから聴いた紅琥村、温泉だけじゃなくご飯・名所(名物の大樹以外も)共にかなりレベルが高い。
ただ村のガイドさんに、近くのシクトク村との関係性や村の名前が変わった理由を聴くと。
数秒?近く黙って、「昭和47年に名前が変わりましたが、理由は分からないです。」と言われ、シクトク村については何も語らなかった。
メディア取材も断っていると謎多い。」
(編集済)
敷徳「観光客として潜り込んで探るか」
加奈「みんなで行くの?」
敷徳「二手に分かれよう。野球帽の男の事も探らなければならない。この電子地図に居場所が表示される」
電子地図にはGPSにより水色のベンツの居場所が示されていた。
原田「僕がするよ~。協会の仕事があるので村まで行けないから」
茜「私も残る。合宿で長く家を空けてたから」
こうして、
敷徳、熊野、加奈、二夫は紅琥村に。
原田と茜の兄妹は野球帽の男を。
それぞれ、調査する事になった。
敷徳「ここが紅琥村か、シクトク村に向かった時よりも早く着いたか。
うん、村にはコンビニもあるのか。」
農村のようなシクトク村に比べて、紅琥村は全体的に明るく活性化された雰囲気を漂わせている。
二夫「旅館の予約が取れたのは良かったですが、何か想像していた村とは違いますね。
駅近くにある飲食店も、人で賑わってますし。」
二夫も敷徳と同じように村の雰囲気を察する中、一同の視界に【紅都琥志の大樹】が入る。
熊野「おいおい、こんな壮大な紅葉だったか?」
加奈「そうですよね、写真で見た時は村の木に似ているかなと思ったけど。
実物は本当に綺麗…何かシクトク村とは正反対ですよねこの村って。」
【紅都琥志の大樹】を、どこか虚ろで悲しげな表情で加奈は見つめていた。
敷徳「今日は色々あって疲れたね。旅館で英気を養って明日から本格的に調査しよう」
一同は頷くと村唯一の旅館に向かった。
そして玄関の戸を開ける・・・・
雷太「いらっしゃませ~」
威勢のいい青年が現れた。
敷徳「あれ、女将さんは?」
雷太「後でお部屋に挨拶に伺います。来客がありまして」
加奈「貴方は旦那さん?」
雷太「いえ、息子です。板前をやっとります」
雷太は一同を部屋に案内した。
雷太「どうぞごゆっくり〜」
加奈「えっ私も一緒の部屋ですか?」
熊野「ああ。布団で川の字に寝る事になる」
敷徳「急で他に空きが無かったんだ」
二夫「枕投げしようぜ!」
そして女将が挨拶に訪れた。
紗矢「遅れて申し訳ございませんでした。私が女将の紗矢と申します」
加奈「母さん?」
敷徳「シク女将?」
紗矢「はい?何を仰ってるのでしょうか?」
紗矢はどこかきょとんとしながらも、考えていた。
紗矢「(シク女将って、この人達は妹の関係者なのかしら。)
あのお客様、私に何かお聞きしたいことがあるのでしょうか?」
落ち着いた口調で、紗矢は敷徳達に尋ねた。
加奈「本当に、母さんではないの?」
紗矢「(この子は私を母親だと思っているのかしら。
確か、妹の話では…)」
紗矢「(加奈という一人娘がいると言ってたわね)貴方ひょっとして加奈さん?」
加奈「はい、そうですけど」
紗矢「やっぱり!少々お待ち下さいね」
紗矢は部屋を出ていった。数分後、シク女将を連れて戻ってきた。
シク女将「姉さん、もう帰る所だったのに何なのよ・・・って加奈?」
加奈「母さんが二人???」
加奈はパニックになった!!!
(編集済)
紗矢は経緯を説明した。
加奈「双子だったの?じゃあ雷太君と私は従兄弟なのね」
敷徳「雷太君が男の子だから紗矢さんは病を発症しなかったんですね」
シク女将「それにしても加奈。男性と一緒の部屋に泊まるなんて」
加奈「空きが無かったんです〜」
紗矢「加奈ちゃんは私の部屋に来なさい。広いから問題ないわ」
その後、
シク女将はシクトク村に帰っていった。
紗矢と加奈は紗矢の部屋へ。
男3人は布団を敷いて枕投げが始まった。(編集済)
枕投げ後、敷徳はスマホの確認をしていた。
敷徳「原田さんの報告では、ここで合っているのか。」
報告を見ると、野球帽の男が都心の高級住宅街にいる事が判明された。
二夫「あの、兄の事で思ったのですが。」
熊野「二夫さん、思った事とは?」
二夫の言葉に熊野が訪ねる。
二夫「もしかしたら、兄は多額のお金を所有している人物と関わっているのでは?
空色のベンツ・集会での料亭に対し、兄の日常生活がどうも引っかかって。」
敷徳「パートのアパート暮らしでは自分一人が生きていくので精一杯だろうしな」
熊野「セミナーに嵌まって借金まみれになった可能性もある。友人知人から借りまくり」
二夫「当然返せるはずもなく」
敷徳「殺られたか」
その頃、紗矢の部屋では・・・
加奈「旦那さんはいないんですか?」
紗矢「夫は雷太が小さい頃ガンで死んだわ」
加奈「女手一つで苦労なさったでしょう?」
紗矢「この村は、結構観光客が来るので生活には困らなかったわ」
加奈「賑わってますよね。明日は温泉に入りたいです!」
そして、夜は更けていった。
翌朝、一同は捜査を開始した。
温泉や観光名所を巡り、世間話をしながら村人たちから情報を引き出す作戦だった。
敷徳「情報が集まったら旅館に戻ってくれ」
熊野「観光客なのだから常にスマイルでな」
二夫「☺️」
加奈「私は温泉に行ってくる〜」
その頃、原田兄妹は野球帽の男の自宅に向かっていた。
原田「あれか。見事な豪邸だな」
茜「表札に烏丸一郎と書いてあるね」
烏丸「何だい?人の家に」
後ろから声がかかり慌てて振り返ると、コンビニ袋をぶら下げた野球帽の男がいた!
原田「烏丸さんの話が聞きたいのですが」
烏丸「うわっ!スキーの原田か?」
原田「ふなきぃ〜」
烏丸「本物だ!いいですよ。お入りください」
(編集済)
応接間に通され烏丸はお茶を用意すると退席した。
原田「茜、あの画を見てみろ!」
茜「血塗られた木の画!」
他にも表彰状などが飾られており、烏丸が著名な画家であることが分かった。
そして烏丸がお茶を持ってやってきた。
烏丸「今日は何のようですか?」
原田「烏丸先生の画に興味がありまして」
烏丸「それは嬉しいです。何でも質問してください」
?「あなた、お客様でもいらっしゃるの?」
おっとりとした口調の女性の声が聴こえると共に、烏丸の表情が一瞬曇る。
烏丸「お二人ともすみません、ちょっと待っていてくれませんか。」
烏丸は声のする方向に移動した。
烏丸「みちる、リモートの仕事は終わったのかい?
あと君に頼まれた、ロールケーキ買ってきたよ。」
原田「あれ、烏丸さんって一人じゃないの?」
茜「何かリモートって、聴こえなかった?」
二人が小声で話す中、烏丸と共に20代前半位と思われる美しき女性が、こちらの方に向かう。
みちる「初めまして、烏丸一郎の妻の烏丸みちるです。」(編集済)
原田「お綺麗な奥さんで。先生、早速質問ですが、この画は?」
烏丸「妻の故郷、シクトク村のシンボルを描いたものです。私は全国を巡って風景画を描いてるんです」
みちる「もしかして原田さんの隣りにいるのは茜?」
茜「うん。みちるって、大塚みちる?」
みちる「そうよ。小さい頃村でよく遊んだね。茜が原田さん家に引き取られてからは会ってなかったね」
烏丸「二人は知り合いなのか?」
みちるは烏丸に説明した。
烏丸「茜さんも大変な苦労を」
茜「原田家に来れて今は幸せです」
原田「今日はもう帰ります。いい画が見れたので」
烏丸「そうですか。また何時でも歓迎します」
みちる「茜、今度遊びに行こうね♫」
茜「OK!」
二人は烏丸家を去った。
茜「何ですぐ帰っちゃったの?」
原田「何か長居すると危険な気がしたんだ。仲良さげに見えて、二人共、目が笑ってない」
茜「そんなふうに見えなかったけどな。でもお兄ちゃんの勘は当たるからなぁ」
(編集済)
烏丸邸
みちるは苛ついていた。
みちる「ねえ、何で「シクトク村」って言ったの?」
「(紅琥村)のプランもあったのに。」
烏丸「君だって、すぐに茜さんに話をしたじゃないか。
彼女とは親しかったんだろう?」
烏丸はどこか怯えながらも、みちるに訪ねた。
みちる「そうだけど、私としてはもう少し様子を見たかったのよね。
それに私、茜の事って本当は…」
みちるは考えつつもどこか笑みを浮かべ、タブレットPCを起動させオンラインゲームをやり始めた。
烏丸「それにしても、これで二回目か。
シクトク村の出身者が来るのは…
死んだ、一夫に続いて。」
その頃、紅琥村では・・・
加奈「いい湯だな♨」
紅琥温泉は肩こりに効く秘湯だった。
村人A「肩の重しが取れるよね」
村人B「若い頃に戻ったように軽いわ」
村人A「若い頃と言えば昔は貧しかったわね」
村人B「温泉が出るまで何も無かったから」
村人A「山に温泉が出て、紅琥村まで引いてるのよね」
村人B「あの山、元々はシクトク村の・・・」
村人A「しーっ、誰が聞いてるか💦」
村人達は出ていった。
その頃、敷徳達は、もう一つの観光名所である紅琥忍者屋敷にいた。
そこは、入口から出口まで様々な罠が仕掛けられており、中庭では忍者ショーが毎月開かれていた。
敷徳「これから、忍者ショーがあるみたい」
熊野「運が良いな。見てみるか」
二夫「罠に引っ掛けてばかりで疲れたよ〜」
中庭は忍者の登場を待つ観客で埋まっていた。
そして、ショーが幕を開けた!
熊野「(凄いな、どうやってこんなに多くの分身を一瞬にして?)」
二夫「(殺陣も凄いですよね、まさかここまで本格的だったとは。)」
忍者ショーは一同の想像以上にして、ショーは終盤へと進んでいった。
?「さて小童、いや雨月と部下は言っていたか。
ここまで来た褒美として、俺の手でお前を仕留めてやろう。」
大柄な男が大きな刀で、雨月と呼ばれた若き忍者に飛びかかった。
雨月「ここでやられはしない…仲間の仇は取らせてもらうぞ…久志吐村頭首・播魔…
紅琥式忍法・紅残雨!」
雨月が放った忍法から雨が降り始め、雨月の姿は雨と共に消えた。
播魔「何だこの雨は、俺をがっかりさせるなよな雨月。
お前がどこにいるかぐらい、一瞬で把握できるんだよ。」
播魔が笑みを浮かべたと同時に、雨が止んだ瞬間に雨月は上空から現れた。
それを見て呆然となる播魔を横目に、雨月は鎖鎌で斬り捨てた。
雨月「終わりを迎えるのはお前だ…お前が造り出した悪しき村…久志吐村と共に…」
倒れこむ播磨、ショーは盛大な拍手の中終わりを迎えた。
敷徳「はあ凄かったな、一体どういう仕掛けなんだろうか?
ただ、悪しき村の久志吐村って…」(編集済)
二夫「シクトク村の事だね。昔からいがみ合ってたのかな」
熊野「隣町とはいえ山を隔ててるから、車の無かった昔は交流は限られてたはず」
敷徳「何も無かった土地を開拓して同時期に開村したのが気になるな。2つの村は元々同じ街の民が移住するために作ったんじゃないか?」
熊野「先祖を辿れば同じという事か」
3人は旅館に戻る事にした。旅館には既に加奈がおり、お互いに報告し合った。
加奈「村の人達はとても好意的でした。
ただ温泉の出る山は、元々はシクトク村の…言ってましたね。」
敷徳「温泉の源泉の元、そして昔は貧しかったけど、今は活性化されている紅琥村か。」
敷徳はシクトク村と違い、都会の者にも友好的な紅琥村にどうも引っ掛かりを感じている。
熊野「忍者ショーを調べたのだが、ショーの関係者は都内で活動する新鋭の小劇団の様だ。
月に一回は紅琥村からのオファーで、忍者ショーの公演をやっていると。
また村の過去の歴史を探ったが、久志吐村という名前は一切記載されていなかった。」
二夫「久志吐村は、ただの創作なんですかね。
そういえば、劇団にオファーしたという人物は?」
熊野「オファーしたのは紅琥村の村長、風祭貴文。
彼は…シクトク村の村長の息子だ。」
熊野「風祭はシクトク村で育って紅琥村の前村長の娘婿になった。前村長は紅琥村一の富豪で金の力で当選したと揶揄されとる」
二夫「シクトク村と紅琥村の村長は親子って事か。もっと友好的になれないかなぁ」
敷徳「地味で閉鎖的なシクトク村、豪華で開放的な紅琥村。温泉が貧富を分けてるな。温泉が出たのは山のどの辺りか。そもそも村境は何処なのか」
熊野「1972年に紅琥村と改名しとるよな。前後の1975年の地図と1965年の地図がある」
熊野は2つの地図を広げた。
二夫「65年は山の真ん中で分かれてるね、75年は・・・変わってる!」
熊野「土地の売買があったみたいだ。紅琥村の前村長が70年にシクトク村の公有地だった残りの山を格安で買っている」
敷徳「密かに山を調査して温泉が出る事を掴み、それを隠して買ったのか!」
二夫「そして大富豪に。してやったりだぜ」
加奈「隠したい過去のはずなのに、シクトク村の村長の息子を婿にしたのが分からないな」
(編集済)
敷徳「気づいたシクトク村長側が脅したか。公表されたく無かったらお金をこちらにも寄越せと。貴文は婿として監視役みたいな役割で」
二夫「そういえばシクトク村は村長の家だけ豪邸だったな」
熊野「村長家同士でグルだったのか!」
旅館の部屋で話し合う4人に、年老いた仲居が部屋を訪ねる。
仲居「失礼します。
本日の夕食の変更の報告のお知らせになりますが、皆様よろしいでしょうか?」
敷徳「夕食の変更って、本日は何かあるのですか?」
加奈「私達は自室での食事と、予約の時に申し込みましたよね。」
疑問に思う一同をよそに、仲居は語った。
仲居「いえ、本日は紅琥村の村長とシクトク村の村長が参加する納会が、宴会場で行われます。
シクトク村の方々も来てくれたようで、つきましてはシク女将から皆様もどうぞとの申し出がありましたので。
あとここだけの話ですが…
風祭村長とご両親は、風祭村長が高校を辞めてから絶縁状態なんですよね。」
熊野「絶縁だと婿になった経緯が分からん」
敷徳「宴会でそれとなく聞き出すしかないな」
一同は宴会場に向かった。
既に集まっており、シクトク村からはシク女将と村長夫妻、紅琥村からは紗矢と雷太、風祭貴文村長夫妻がいた。
シク女将「ちょっと加奈、何しているのよ?
あんたも村の招待客なんだから、今はこっちに座りなさい。」
どこか上機嫌なシク女将に対して、加奈は敷徳達に会釈して、母親の方に渋々向かっていた。
敷徳「加奈さん、大丈夫かな?」
熊野「まあシクトク村に戻れとか、そういう事は言わなそうだけどな。」
敷徳達が用意された席の方に向かう途中、談笑する声が聴こえる。
?「いやー僕と妻の出会いは、美術館での烏丸先生の展示会でして。
彼女の両親に会った時は驚きましたよ、紅琥村の村長の娘だったとは知らなかったので。」
そう語る、長身で細身の朴訥とした温和な雰囲気を漂わせる男。
どうやら彼が、紅琥村の村長・風祭貴文のようだ。
二夫「あの人が、風祭村長ですかね?」
熊野「敷徳と同年代かね、もっと気性が荒い印象だったが。」
敷徳「シクトク村の村長を考えると…うん、あれは何だ?」
敷徳は壇上にある看板を見つめていた。
看板には「シクトク村と紅琥村の統合記念祝賀会」と記載されていた。(編集済)
熊野「統合?」
紗矢「ええ。少子化で国が市町村の数を減らす方針で」
シク村長「協力すれば国から助成金が出るんじゃ」
敷徳「村の名前はどうするんです?」
貴文「それをこれから決めるんだよ」
貴文の妻「宴なんだから、出し物を見たいわね。まずはシクトク村から」
貴文「さすが桃香、いいアイデアだね。親父、何かやれよ」
シク村長「うーむ、あれしかないか」
貴子「シク女将、加奈、分かってるわね」
シク女将「ふふふ」
加奈「ハァ~」
シックトック シックトック シックトック祭り〜(あっそーれ♪)
シックトック シックトック シックトック踊り〜(よいっしょ♪)
貴文「わっはっはっはっ」
桃香「うぷっ」
宴は和やかに進んでいった。
シックトック シックトック シックトック祭り〜(あっそーれ♪)
シックトック シックトック シックトック踊り〜(よいっしょ♪)
シクトク村の住民たちは反時計回りに回り出した。
・・・・とその時、「も・も・もう我慢できない〜」
クッシトック クッシトック クッシトック祭り〜(あっそーれ♪)
クッシトック クッシトック クッシトック踊り〜(よいっしょ♪)
紅琥村の住民たちは時計回りに回りだした。
敷徳「紅琥村の人もか、うん音楽は違うような?」
紅琥村の住民も踊りだす、奇怪な踊りは終わりを告げた。
加奈「はぁ疲れた、何でこんな形で踊らなきゃいけないのよ。
やっぱりお母さんは…」
ふてくされている加奈を、心配そうに雷太が加奈の方に来た。
雷太「大丈夫、何か笑っていたの風祭夫妻とか外部の人だけだったよね。」
加奈「あっ雷太君ありがとう、雷太君も何か暗くない?」
雷太「今回の祝賀会の料理って、風祭さんが呼んだ有名フレンチ店の人が食材から担当したんだよ。
村の活性化だったら俺がやりたかったし、母さんも戸惑ってばかりで。」
加奈「愚痴なら付き合うよー。」
二人は同世代という事もあってか、談笑していた。
熊野「すぐに打ち解けられるのか、若者のコミュ力はすごいな。」
敷徳「何を感心しているんですか、それにしてもさっきの踊りは…風祭さんと話が出来ればな。」
二夫「みんな浮かれているんですかね…私には分かりませんよ。」
祝賀会には建設関係の人々・シクトク村の館長なども来ていた。
?「本当にみんな浮かれていますよね、私達は罪人なのに…」
暗い女性の声に気付く、その声はシクトク村の村長の妻の貴子であった。
熊野「あんたはこないだの、何の用ですか?」
貴子は暗く思いつめた表情で、こう語りかけた。
貴子「その件は改めてごめんなさい…ただこの写真を見てはくれませんか?
今日、桃香さんが撮影した【紅都琥志の大樹】の写真で、私を奴隷のように扱う主人が映っています。
でも…これは【血塗られた木】かも知れない。」(編集済)
熊野「どうゆうことだ?忌まわしい過去が?」
貴子「息子は母親想いのいい子でした。主人は村長になる前は酒乱でマトモに働きませんでした。学費が払えず息子は高校中退して寮付きの仕事をしてました」
敷徳「立派な息子さんです」
貴子「ええ」
二夫「貴文さんはシク村長をどう思ってるんですか?」
貴子「紅琥村長になってからは村長同士の会合などで会う事が多く普通の親子関係です。子供の頃は憎しみもあったでしょうが」
敷徳「そうですか。話を変えましょう。貴方達の罪とは何ですか?」
貴子「敷徳さんの事だからお調べになってるのでは?」
敷徳「紅琥村長からシク村長へお金を流していた」
貴子「ええ」
敷徳「なぜ分前を貰えたんですか?」
貴子「主人が真相を嗅ぎつけたんです。前紅琥村長を脅して。貴文が村長になってからは一切無くなりました」
敷徳「ご主人がかぎつけた真相というのは?」
貴子「一つは伝染病の発生理由になります。
シクトク村では【余所者と結婚して出来た女の子】、紅琥村では【双子の母親】と言われています。
ただ、この伝染病の本当の発生理由は、どちらの村でも起こりうるんです。」
熊野「つまりシクトク村でも双子の母親、紅琥村でも余所者の女の子が伝染病に?」
二夫「(双子の母親って、まさか…)」
二夫はある事が浮かび、少し憤りの表情を見せる。
貴子「シク女将…いえ真由子の姉である、紗矢も彼女のお母さんの症状を抑える為に。
シクトク村から離れた、紅琥村の旅館に引き取られました。
紅琥村の村長は、養子先が気に入った方の双子を引き取らせ、その際に多額のお金を貰っていました。
これはシクトク村の館長も知っている話だと思います、彼は紅琥村の村長と手を組んでいましたから。」
#シク女将の名前を真由子にしましたが、よろしいでしょうか?(編集済)
敷徳「やれやれ😥館長は様々な悪事に手を染めて」
熊野「容疑者から外すのは早急だな」
敷徳「そう言えば、踊りの事を貴文に聞かなければ」
敷徳は貴文の元へ寄っていった。
#勿論です。気軽に楽しみましょう!
熊野「すまない警察から連絡が来た。
終わり次第、そっちに向かうよ。」
二夫「すみません…僕も、もう少し貴子さんと話がしたいので。」
敷徳「分かりました、二夫さん大丈夫かな。」
熊野「連絡が終わったら、俺が二夫君の様子を見に行くよ。」
敷徳「お願いします。」
別の場所に移動する熊野と二夫に会釈し、敷徳は風祭を見つけて挨拶をした。
敷徳「すみません風祭さん、お話したいことがあるのですが?」
シク村長「おいおい、よそ者のあんたが何でここにいるんだ?」
貴文の近くにいた、シクトク村の村長が敷徳を睨む。
貴文「辞めなよ父さん、すみません本当に。
真由子さんから聞いています、探偵の敷徳さんですよね。
紅琥村の村長、風祭貴文です。」
貴文は丁寧に一礼し、敷徳に名刺を渡した。
敷徳「あの改めて、少しばかりお時間よろしいですか?」
貴文「はい構いませんが、お話というのは一体?」
敷徳「先ほどの余興についてです。
紅琥村の音頭は、シクトク村と違って曲調や歌詞も違うんですね?
クッシトックではなく、クットクッシではと思ったので。
それに、この音頭は伝染病と関係性あるのに、何故村人の一人である貴方は笑えたんですか?
他の村人の方は貴方の奥様、シク村長、シクトク村の館長、真由子さん以外笑ってませんでしたが…」
#名前の許可、ありがとうございます。(編集済)
貴文「久志吐村が音頭の原型だからですよ」
敷徳「忍者ショーでやってた悪の村ですか?」
貴文「ええ。あれは創作では無いのです」
敷徳「どうゆう事です。久志吐村なんてどの記録にも載ってませんよ」
貴文「それは、当たり前でしょう?
その記録や資料は、もう数十年以上前から廃棄されたのですから。
シクトク村と紅琥村が、実は【久志吐村】と言う1つの村だったなんて、親父の年代前後のごく一部の者しか知りません。」
敷徳「1つの村?」
貴文「はい。
それと敷徳さん、あまり深入りするのは危険ですよ。
真由子さんの旦那さんの正造さん・一夫さんという男性も訪ねたんですよね、親父に【久志吐村】とは何だ?ってね。」
貴文の表情は温和ながらも、どこか狂気を漂わせていた。(編集済)
敷徳「久志吐村に首を突っ込むのは命懸けという事か」
貴文「ええ。余所者は尚更」
敷徳「しかし、再び一つの村に戻ると問題が起きないのですか?」
貴文「新しい世代が大半ですし。シクトク村は貧しいから願ったり叶ったり見たいですよ」
敷徳「では、質問の続きを。何故音頭を笑ったのです?」