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その人物は痩せた老年女性だった。 貴子「私、村長の妻で貴子と申します」 敷徳「僕に話したい事とは?」 貴子「最近、病院で余命宣告されました。残り少ない人生を考え、村の将来のために負の連鎖を断とうと思いました」 熊野「負の連鎖とは?」 貴子「一連の事件の根本に村ぐるみの罪があります」 茜「村ぐるみの罪って何?」 貴子「茜は幼かったから分からんと思う。貴方の両親が自殺したのは薬物中毒が原因なんよ」 二夫「ヤク中だって?」 貴子「村ぐるみで大麻栽培をしてたんよ」
熊野「当時の報道で死体に薬物なんて検出されなかったはず」 貴子「村ぐるみとは村の警察も病院もマスコミも含めてよ。いくらでも改竄できる」 敷徳「何てこった」 加奈がクローゼットから飛び出してきた。 加奈「じゃあ父もヤク中が原因で?」 貴子「加奈、ここに居たの!ええ、そうよ。正造は余所者としてストレスだらけ。誰よりも薬に手を出してた」 二夫「血塗られた木は?みんな偶然木の前で死んだんですか?」 貴子「本当は別の場所でそれぞれ死んでたの。血塗られた木の呪いとカモフラージュするために村人たちで移動させたんよ」
貴子「加奈に隠れてしてたのよ。それに隔離じゃない。排他的で余所者に冷たい村だから女将は家族を守ろうとしたんよ」 敷徳「会おうともしないのはオカシイな」 貴子「うっ💦」 熊野「警察も病院もマスコミも異動や転勤がある。村出身者だけで構成するのは不可能だ」 貴子「うっ💦」(編集済)
熊野「誰の入れ知恵だ。言わなきゃ警察に来てもらうぞ」 貴子「ひいぃ、お許しを。主人です」 敷徳「村長が?」 貴子「はい。敷徳たちの捜査を辞めさせるために事件の結末を考えた、お前が行って来いと」 二夫「村長も間抜けだな。ボロが出まくりだ」 貴子は逃げるように事務所を去った。
敷徳「ところで加奈さん。隔離は初耳だった」 加奈「父が婿養子として旅館に来て、最初は普通の夫婦だったそうです。子供が出来、女の子と知ってから母は豹変し父と私を離れに隔離し、旅館に入れなくなりました」 茜「食事はどうしてたの?」 加奈「離れの前に畑があるので自給自足。裏にある山で動物を仕留めたりも」 熊野「ベーコンは家族みんなで食べてたよな」 加奈「何故か、その日だけ母は私と父を旅館に招き入れたのです。父は翌朝行方不明に」 熊野「数日後に血塗られた木の前で死亡か」
加奈「その後、母は私を旅館の従業員として雇いました」 敷徳「隔離しなくなった理由が分からんな」 加奈「理由を聞いたところ、子供じゃなくなったから、でした」 二夫「女の子だと隔離しなければならんの?」 敷徳「女将さんに聞いてみなければ」 敷徳は旅館に電話した。