この夏、スタジオジブリ作品が『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で相次いでテレビ放映されているが、その中で8月26日放送の『耳をすませば』に、現在のコンプラ的観点からツッコミが生じている。
これまで、ジブリ作品には『となりのトトロ』で、父親と小学生の娘が一緒にお風呂に入るシーンが「欧米ではアウト」といったツッコミが入っていたが、名作と名高い1995年公開の『耳をすませば』にも、同様の流れが生じてしまった。
一つが自転車の二人乗りのシーンである。主人公の月島雫を乗せて天沢聖司が坂道を駆け上がるシーンは、作品のハイライトの一つである。だが、ネット上では「コンプラ的にアウト」「道交法違反では」といったツッコミが生じてしまった。
自転車の二人乗りに関しては、各都道府県の公安委員会規則に基づき、おおむね6歳未満の子どもを乗せる場合を除き、原則として禁止されている。子どもを乗せる場合は専用の座席を用意し、ヘルメット着用が義務付けられている。さらに運転者が16歳以上である必要がある。
この規則に基づけば、中学生が運転している『耳をすませば』の自転車二人乗りは法的にはアウトだろうが、ネット上では「耳をすませばの今の自転車の逆走シーン、コンプラ違反でこの先地上波放送禁止とかになりそうで怖い。今の風潮だとマジであり得る」「『耳をすませば』観て『自転車の二人乗りは違法』とかいう大人にはなりたくない」といった声が聞かれた。
もう一つが「個人情報」に関するツッコミである。物語では、図書館の貸出カードの履歴から雫と聖司がお互いの名前を意識して行く場面がある。図書館の貸出情報の秘密は守られなければならないと「図書館の自由に関する宣言」(1954年採択、1979年改訂)で定められており、公開当時から問題となっていたようだ。さらに映画公開後の2005年には、プライバシー保護を重要な目的とする個人情報保護法も施行されている。最近のコンプライアンス意識の高まりで、蒸し返されるようにツッコミが生じていると言える。
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