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古いコンクリートの建物は昔叔父が住んでいたアパートで、子どものころ遊びに行ったのと同じように2階の叔父の部屋のドアの前にいる そこから見える景色の少し遠くでゴジラが街を破壊している ゆっくりと動きながら口から火を吐いてジオラマみたいに小さなビルや家々を焼いているが、なんの音もしていない ドアが開き、笑顔で叔父が迎えてくれる 子どものころと同じようにキャンディをくれた叔父の手の小指の爪が長い
白い塔のなかの螺旋階段をのぼっている 途中に受付のようなデスクがあり、そこに座った人が「人工物を展示しています」と言う もうすぐ雲が見えるのだろうと思い、「雲も人工なのですか」と聞くと、ゆっくり頷いて「人工物を展示しています」と言う なにかの真実にたどり着いたようなとても傲った気持ちになる 見知らぬ灰色の猫が足元に来ている 少しかたい手触りの毛並み、その猫のおかげで傲ったまま塔をのぼり続けなくて済んだ
どこかの学校のなかで行方不明の子どもがいるらしく、みんなで手分けをして探している 見つかったという報せが入り、安堵して、校舎の廊下の窓のある壁に誰かと二人で並んで座り込む 人の気配がなくなり薄暗く、誰かわからないが隣に座っている人が「この校舎はもうすぐ取り壊される」と言う 窓の外で声がして、見ると友人達が行こうと呼んでいる、隣の人に伝えたがその人は行かないと言う 出口がわからないので窓から一人で外に出る、のどかに晴れていて、黄色いタンポポがたくさん咲いている
コンクリートの建物のなかに5、6人ほどの同志らしいメンバーといる 見知らぬ老女と手を繋いでいて、連れていくことになっている、無言で見つめてくる老女の視線にひやりとする 外に出ると一面の砂漠で、遠くから小さな粒のように大勢の人が押し寄せてきて、雨後の大河のような流れになる ものすごい人波を突っ切りながら老女の手を離してしまう、故意か偶然かはわからない、ひどく後悔しながら同時に安堵している ようやく目的の建物に着くが、前の建物とまったく同じである、老女とはぐれたことを言い出せない、リーダーの男は明るい笑顔で深刻な内容の話をしている
夜、暗い道を家に帰るために歩いている 途中で街灯に照らされた家があり、けたたましい声で言い争っているのが聞こえてくる、とても嫌な気持ちがして足早に通り過ぎる この先の地下道を越えれば家に着くが、長い鎖に繋がれた灰茶色の大きな犬が2匹、道を塞いで牙を見せて唸っている 1匹の鎖が外れ、一瞬で飛びかかられて左手に噛みつかれる、助けを求めるにはさっきの家しかなく、あそこは嫌なのだが、噛みついたままの犬を引きずって道を戻っていく 街灯が見えてくる、引きずる犬がおとなしい、気がつくと痛くもなく怪我もしていない、牙の力は加減されている、柔らかくて温かい舌が左手に触れていて、犬は澄んだ目をしている
薄暗いホテルにいて、もうすぐ出発だが、足りないものに気がついて急いでコンビニへ行く 店内は商品の棚が大きな楕円形に配置されていて、ぐるりと回りながら目的の品物を探すがなかなか見つからない 壁にドアがあるので開けるとそこは誰かの家のなかで、知らずに土足で入ってしまい、人の気配がするのでその家の洗面所を横切って急いで出る 誰にも会わなくて良かったと思う、薄暗い部屋に戻っている、買い物はできたらしい、アイブロウペンシルを握りしめていた
勤務初日の新しい職場は写真スタジオのようなところで、かかってきた問い合わせの電話を先輩のスタッフに取り次いでいる 退勤時間になりスタッフルームに戻ると、係のような人から必ず定時で帰るように強く言われる、自分のロッカーがわからない、係の人がバッグを渡してくれたが、ショルダーバッグのはずが長方形の小さなサイズになっていて、何重にも紙で包まれた上にマジックで、川に水没しました 中身を確認してください、と書いてある スマホを取り出すとカバーがゼリーのようになっている