すると紗矢は写真を10円で削り始めた。帽子、サングラス、マスクは姿を消した。
熊野「まるで宝くじだな。しかし厳つい顔じゃ」
雷太「こいつは館長じゃないな」
紗矢「これは合成写真よ。この男は・・・」
(編集済)
みちる「やっぱり…美大生とか帽子とか気になるワードあったけど。」
写真は烏丸だったが、写真の2人はまるでマネキンのようだった。
二夫「話してください、本当の真実を。」
二夫に対し、烏丸は語る。
烏丸「ああ…ただ気になる事に答えてくれないか?
茜さん、君は何故病人を演じたか。
そして…太郎君、君が奇譚で名前が出てきた時に動揺した理由も。
それを詳しく話してくれれば、次の事件の話をしよう。」(編集済)
茜「敷徳さんに捜査を頼まれたんです。そのためには大広間から離脱する必要がありました。医務室の医者は実は警官が扮した偽物です」
烏丸「どんな捜査です?」
茜「シクトク病院にある感染者専門病棟の罪を暴く事です。歴代の院長が残した日記を読み込んでました」
(編集済)
烏丸「どうやって日記を入手したんだ?」
茜「今日は病院が休みなので忍び込んだんです」
敷徳「茜さん、日記の内容を発表してほしい」
(編集済)
茜「紅琥村の人も含めて、感染者は全員シクトク病院に集められてたわ。感染を防ぐために面会謝絶にして。しかし、何故か短期間で亡くなる患者が多いの。そして感染を防ぐために勝手に火葬して遺骨も処分したと」
敷徳「子供売りだけでなく大人も売ってたのか」
茜「大人は臓器を売ってたのよ。臓器移植のドナーに困ってる人は多いから」(編集済)
茜「シクトク病の主な発症者。
【余所者と結婚して出来た女の子】、【双子を産んだ母親】、【父親が双子の子供】の三つに分かれている。
主な症例は記憶障害、凶暴性、奇怪な踊りを踊りだす。
そして【父親が双子の子供】の短命、短期間で亡くなる患者がの方々は双方の村に当てはまるわ。」
烏丸「(臓器の売買、早死…)」
烏丸は一瞬牧子の表情を見たが、牧子は無表情であった。
茜「この病気の研究に携わった日向教授は、【久志吐の花】の毒素と村の地盤を研究していた。
事故により死去となったものの、彼の研究はのちのワクチン開発の成功にも大いに役立つ結果となった。
あっ敷徳さん確認なんだけど、日記の内容ってみんなにも配布されるわよね。」
敷徳「現在平田教授が印刷しています、加奈さんの父親や一夫の事件も。」
茜「結構時間かかっているのかな、機材トラブルもあったし。
そういえばさっきの敷徳さんと熊野さんの喧嘩の真相、平田教授は知らないの?」
敷徳「先ほど伝えました、警察以外の外部の方は少し疑っていた部分もあったので。
ただ茜さん…疑いを持っている人物に、作戦を言う必要性はあるんですか?」(編集済)
茜「既に逮捕されてる人達も含めて、全員が参加しないと事件を解決できませんから。それに、まだ敷徳さんの疑いも晴れてませんよ」
敷徳「これは失礼しました。奇譚の名前に付いて話さなきゃなりません」
敷徳「僕が驚いた理由は…自警団の青年という部分と名前についてです。
最初の時にフルネームがあったのは、僕の先祖だけだったのが違和感を感じて。
また自警団と言っても何らかの役職が付かない者が、当時行動できたか。
その後の奇譚や資料には出てこないですし、正直僕の部分に関しては信憑性が薄いんですよね。」
原田「でも村を救おうとしたのは、真実なら誇れるべきでは?」
敷徳「確かにそうですね…」
敷徳の複雑そうな表情に、熊野は何かを知っている様子が感じられる。
茜「あの…まさかとは思うけど、敷徳さん養子とかではないわよね?」
敷徳「違います、ただ両親とは中学卒業から絶縁状態で…それに僕は両親の事は正直…」
茜「どうして…それを今まで黙っていたんですか?」(編集済)
敷徳「村とは無関係だと思いまして」
茜「敷徳という苗字は村にいないわよね」
加奈「はい。でも珍しい苗字ですよね」
敷徳「僕が生まれてから一度も同じ苗字には会ってません。この敷徳三郎太という人が僕の先祖なのか確かめるには両親に聞かねばなりません・・・」
(編集済)
敷徳「少し一人にさせてください」
敷徳は大広間の隅に移動した。
(疑問に思ってた事がある。この村に初めて行く前夜に見た大樹に飲み込まれる夢。実際に見た大樹と瓜二つだった。写真で遠目に見ただけではあり得ないほど細部まで)
敷徳「・・・躊躇してる場合じゃないな」
敷徳は両親に連絡する決心をした。
?「もしもし…どちら様ですか。」
敷徳「太郎です、お久しぶりです…母さん。」
敷徳の母「太郎なの…もしかして…あなたの所にも借金取りが来たの?」
敷徳「いえ、最近は来ていないです。」
敷徳の母「じゃあ何の件かしら…あなたが電話するのって確か、あの人の事業がうまく行っている時で。」
敷徳「あの…父さんに…代われますか?」
敷徳の母「えっ…あの人と話がしたいの…分かったわ。」
敷徳は暗い様子で対応し、母もどこか疲れ果てた様子ながらも父親に代わった。
敷徳の父「愚息が…何の用だ…もしかしてお前、金があるのか?
なら今すぐにでも電話を切って、あるだけの金を俺の口座に振り込め。
愚息でも、できるだろそれ位。」
敷徳「単刀直入に聞きます…シクトク村の事を知っていますか?」(編集済)
敷徳の父「ブホッ。その名前どこで知った?」
敷徳「現在、滞在中です。事件を担当してまして」
敷徳の父「何の因果か・・・。知ってるも何も俺が事業に失敗して借金まみれなのはなぁ。全てその村が原因なんだよ」
敷徳「敷徳家と村の関係を教えてほしい。村には敷徳三郎太という歴史上の人物がいます。僕らは子孫なんですか?」(編集済)
敷徳の父「三郎太?そもそも家系図なんて、今どこにあるのかよく分からん。
あの村には土地の取引以外では、お前が赤子の時に一緒に行ったことはあるが。」
敷徳「やはりシクトク村に来たことあるのか…僕は。
ただ、子孫の情報は不明か。」
敷徳が考え込む中、母親に電話が代わる。
敷徳の母「ところであなたがその村にいる理由は何?
ニュースで知ったけど、感染したらどうするの…近寄りたくも無い、気色悪い村じゃない。」
敷徳の父「お前の言う通りだな。
まあ財宝でもあるなら、別だが。」
父と母の言葉に、敷徳は一呼吸を置いた後、告げる。
敷徳「はあ…ふざけんな…あんた達はいつもそうだよな、本当に!!」
敷徳は怒りから、珍しく声を荒げる(編集済)
敷徳の父「何だと!世の中、綺麗事を言えるのは金持ちだけだ。俺だって村に行かなければ(TдT)」
敷徳「土地取引って何だ?村に土地を持ってたなら、やはり僕らは三郎太の子孫では?」
(編集済)
みちる「敷徳さん…何か凄く怒ってない?」
二夫「あんな敷徳さん、初めて見ました。」
加奈「熊野さんは知っているのですか?
敷徳さんのご両親のこと?」
熊野「(あの親に関してはな…)」
会話の内容は把握できないものの、激高する様子の敷徳とそれを見守る一同。
茜「まあ…子供は選べないからね、親を。
ねえ貴文さん、桃香さん、みちる…加奈さん、雷太君も。」
加奈「(茜さん、さっきから様子が変…)」(編集済)
二夫「みちるさんの両親は謎だな。親に金で売られ、たらい回しにされたと言ってましたよね。これは子供売りの事ですね。それも親が自ら差し出して」
(編集済)
みちる「ええシクトク病と偽って、金持ちの養子にさせてお金を得ようと。
結局失敗から両親は私をおいて蒸発し、施設に引き取られました。
まあ…両親とは結婚後に再会して、謝罪はしてくれましたので…」
烏丸「あくまで形式上ではあり、既に亡くなっているが…君には同情するよ。」
牧子「ところで真由子さんと紗矢さんは、この後も参加させるの?」
真由子は疲れから仮眠をし、紗矢は外を眺めている中、敷徳は電話を続けている。
敷徳の父親「だから土地売買の時に、元々俺が得るはずだったんだよ山の土地の半分。
ところがだ、権利上の契約とかで騙されて。
敷徳「土地の話は分かった…母さん、家系図は見つかったのか?」
敷徳の母「ボロボロな物だけど…あっ…うちとは遠縁だけど、この名前って三郎太?」
敷徳「村の連絡先を言うから、そこにいますぐ家系図を送ってくれ。」
敷徳の父「面倒臭いな…そう言えばお前は探偵もどきの輩の仕事は引き継いだのか?
依頼料はあいつと違って、ちゃんと得ていたら口座に。」
敷徳「仕事は引き継ぎました、師匠は恩人なので…あと無償です、この村の歪みを変えたい気持ちから。」(編集済)
敷徳の父「無償だと!だったらさっさと引き上げろ。お前の苦労も元々は村のせいだ」
敷徳「それなら尚更です。解決すれば土地は本来の所有者に戻るかもしれません」
敷徳の父「そうなのか・・・ふん、体に気を付けろよ」
敷徳は電話を切った。(編集済)
敷徳「(土地は毒素の研究から、国に管理されるだろう…それにしても心配されたのいつ以来だ…)あっすみません、遅くなりました。」
敷徳は周囲に家系図や関係性を話した。
加奈「幼少期に、村に来たんですかね?」
熊野「家系図は、現在平田さんが解析しているそうだが。」
平田が数分後、大広間の方に来る。
平田「敷徳さんあったよ、君の家系図に三郎太という名前が。
あと事件資料に関しても、配布も含めてまとめる事がようやくできた。」
敷徳「ありがとうございます。」
平田「ところで、この中にAIに詳しい人物はいるかね?」
二夫「AIって…スマホ内容の流出ですか?」
平田「それもだが、機材ミスも含めて原因はハッキングだと判明した。
ただし、柿沢牧子は県警が完全に監視されているのでね…」(編集済)
熊野「しかし、ここにおる者は持ち物検査しとるからのう」
茜「私が病院に忍び込めたのは警察の協力あっての事。他の人が外出する機会は無かったわよ」
敷徳「コンピュータウイルスか。時が来れば発動するように仕組んで」
(編集済)
原田「内容は敷徳さんの推理メモと、貴子と柿沢牧子の取引の映像が自動で送られましたよね?」
熊野「ああ、その送られた人物をまとめたが
私・探偵・二夫さん・原田さん・茜さん・加奈さん・烏丸さん・みちるさん・貴文さん・桃香さん・紗矢さん・真由子さん・雷太君・牧子、署内の連絡から貴子・館長・山中タケルにも来ている事は分かったが…」
考え込む一同に、モニター越しから疲れた様子ながら、貴文が語りだす。
貴文「なあ俺の連絡先を知っているの、桃香・烏丸・みちる・タケル・母さん・館長・紗矢・雷太・柿沢なんだけど。
そう考えると烏丸・みちる・柿沢の三択だろ、あんたらは村を監視していたわけだし。」
みちる「私は村の様子を観察はしていました、それは村の動向を探る為ですし…」
烏丸「君たちがいつ暴走するかを止める為にね…そうだ、僕と紗矢さんの関係を言う約束だったね。
僕は村に来た後、彼女が記憶障害ではないことに気付いたんだ。
そこで彼女を追求したら、妹・息子を守りたいから、協力してくれとね。」
みちる「どうして、その事を言わなかったの…」
烏丸「言わなかったって…君が柿沢牧子と手を組んでいるからだろ?」(編集済)
みちる「夫婦だったら利益は一致するじゃない。少なくとも私が牧子にバラして得することはないわ。協力すれば良いとこ取りできるじゃない」
(編集済)
敷徳「僕がずっと疑問に思うのは、みんな私利私欲しか考えないのか!故郷の村を良くしようと思わないのか!」
敷徳は俯いた。(編集済)
みちる「私はこの村の悪行を公にできれば、お金なんてどうでも良いけど。」
烏丸「同じくだが、さっき君は得と…」
みちる「あれは、言葉のあやです…」
桃香「私利私欲の何が悪いの?」
雷太「すみません、今はそれを考える余裕が…」
それぞれの真意が交差する中、茜が語る。
茜「敷徳さん、感染者の方や家族は自分の事で必死なだけじゃない…余裕無いでしょ…他は自分のことしか考えてないけど。
あとさっき言い忘れた事、感染の場合の時に薬物中毒と思われる症状が起こるが、可能性は低い見たい。」
敷徳「そうですか・・・少し疲れたみたいです」
敷徳は俯いたまま、手に握られたスマホを見つめた。すると、ふと思いついたように叫んだ!
敷徳「皆さん、スマホの受信記録を一斉に見せましょう。犯人は自分にも送信してるはず。外部の機器からね。ただ、自分のスマホにはウイルスは感染させてないはず」(編集済)
熊野「犯人だけウイルスの分、容量が少なくなり、受信時刻が早い可能性があるな」
敷徳「ええ。それを手動で開けてるのです。それではイチニのサンで見せてくださいね」
イチニのサン!!!
一同は一斉にスマホを見せた。(編集済)
敷徳「ほぼ同時…うん?」
加奈「どうかしたんですか、あっ…」
敷徳と加奈はタイムラグの違いに気づく。
タイムラグがあったのは…茜だった。
茜「もう降参ね…まあウィルスの件は。」
原田「茜…」
二夫「あの…この待ち受けって。」
茜のスマホの待ち受けの風景には、茜と一夫が仲睦まじい様子が写っていた。
#一連の流れを混乱させた感じになり、申し訳ありません。(編集済)
敷徳「茜も村の秘密を暴くためにセミナーに参加したのか?村の幼馴染同士、何処かで再会して親睦を深めた。そして作戦を練ってタケルに近づいた。茜は最後まで参加して、タケルに密着。一夫は誰かに会うために途中離脱した」
#偶然、同じ時刻に書き込んだのが原因です。気にする事なく、突っ走りましょう🙌
茜「敷徳さんの言う通り、そうじゃなきゃあんなセミナーなんて入ってもいないわ。
私と一夫さんは再会し、同じ目的の為に行動をした。
この村の歪みを消滅させたい思いは、一夫さん…いや彼と同じだったから…」
茜自身はどこか物悲しげに語る中、二夫は尋ねる。
二夫「どうしてその事を、今まで言ってくれなかったんですか?」
茜「あのさ…正直な事を言ってもいい?
兄さんには迷惑をかけたくないからだけど…それ以外の連中は誰も信用できないのよ。
私は彼と最後に会う約束をした…でも彼は現れず、翌日殺された。
私は彼の死を探る為に、彼や自分に近づく者達の全てを疑いつつ、時には仲間の振りもした。
彼の仇を討つ為なら…どんな手段を使ってでも…」
熊野「確かに犯人は村の関係者しかあり得んからな。先程、県警から連絡があってな。一夫が殺された夜、返り血を浴びた不審者を文也が目撃してたんだよ。雷太君、君だよ」(編集済)
茜「あんたなの…」
原田「茜、落ち着け。」
雷太「あの時は養鶏場の手伝いを頼まれて、服の返り血は鶏を捌く時に…信じて下さい。」
敷徳「養鶏場に確認をした方が良いか。
茜さん、ハッキングの理由は何ですか?
病院の資料は、平田さんの確認から正しい物でしたが。」
茜「柿沢牧子に関しては、あの正岡が偽者か本物かだという確認の為よ。」
茜「敷徳さんの推理メモを流出させたのは、犯人が焦ってボロを出す事を期待してのことよ。敷徳さんの推理力を見せつければ、次の犯行を躊躇する効果もある」(編集済)
敷徳「あなたが思っている犯人は誰ですか?」
茜「犯人ね…ここに来て予想外の人物が出てきたけど。」
雷太の方に目線を向ける。
熊野「養鶏場の確認は取れた。
嘘ではないようだが、養鶏場の場所は敷徳の事務所近くにある」
雷太「人間の血と鶏の血は違うだろ。その時着てた服なら家にあるよ。洗ってもシミになってて落ちない。いくらでも調べればいい」
桃香「服のシミ以外にも養鶏場の場所が、敷徳さんの事務所近くにあるというのがね。」
雷太「俺は本当に知らなかったんです、近くに事務所があったなんて。」
雷太に視線を目を向けつつ、敷徳は二夫と会話している。
二夫「(文也さんの発言、どう思いますか?)」
敷徳「(決着を付けたい大切な人ですか…そう考えると茜さんの現状に気になる個所が見えるな。
スマホ後の茜さんの発言や動向は、何かに対しての恐怖への対抗を感じる。
それに原田さんも、どこか不安げでおびえている様な?)」
茜「ちなみに予想していた犯人は烏丸一郎、理由は本当にシクトク病だったか?
まあ、加奈も本当に感染者かは…不明だけど。」
真由子「ふざけないで、加奈は私と姉さんが引き取った大切な子なのに…」(編集済)
敷徳「引き取った・・・?」
熊野「実の子では無かったのか?」
真由子はハッとして口を手で抑えた。
真由子「ごめんなさい…私、この女の人が急に加奈を責めたからカッとなって。
ただ…今ここで何が起きているのか、正直頭の中が混乱して…」
熊野「この状況を把握していないんですか?」
真由子「村の過去の事件を解決する為の、集まりなのは分かっています。
先ほど姉さんと私の携帯をお借りしますって、刑事さんが持って行ったのはその為ですよね?」
熊野「そうなりますが、真由子さんに一連の説明はされていないのか。」
紗矢「・・・・・・」
混沌する真由子は紗矢を見つめるが、紗矢は変わらずに沈黙を続ける。
敷徳「真由子さんの記憶が混沌している状況は分かりました。
ただ加奈さん、何故真由子さんに現状を説明しなかったのですか?」
加奈「それは…私はお母さんを信じる事ができないからです…」(編集済)
敷徳「犯人だと思ってるのか?」
加奈「分かりません。でも感染者だからという理由で、容疑者から外れるのはおかしいです。いい加減な事を言うのを全て病気のせいに出来ません。それを利用して演じる事も出来ます」(編集済)
真由子「あなたが私のことを恨んでいるのは分かっているわ。
加奈、本当にごめんなさい。」
加奈「今さら遅いよ、私に寄り添ってくれたのは牧子先生…正次さんだけだった。」
加奈はやり切れない思いを抱え、涙をこらえていた。
だが茜は冷酷に、加奈に問いかける。
茜「正次おじさんね…それが分かったのは…敷徳さん達に会う前?」
加奈「会った後よ。ただ子供心に正造の死体を見て違和感を感じてたのは事実。まさか入れ替わってたなんてね。正造と文也が友達なのも驚いたわ。ねえ母さん、ズバリ聞くけど私の本当の父親は誰なの?」
真由子が言いにくそうに加奈を見つめる中、紗矢が沈黙を破った。
紗矢「この村に住んでいた、若い男女よ。
シクトク病の子供を育てたくないって言い張って、村を出て行ったわ。
今も生きているかは…所在不明かしらね。」
加奈「育てたくない…そうですか。」
加奈はやりきれない感情を抑え、真由子は紗矢の発言に複雑な表情を浮かべていた。
敷徳「(茜さんはハッキングから、正次さんの情報を得た可能性が高い。
ただ…)加奈さん、何故今まで言ってくれなかったんですか?
正造の本当の事を…」
加奈「もういいじゃないですか、私も敵として見ていいんですよ…」
敷徳と加奈は色々な感情を抑えながらも会話をする中、加奈の瞳からうっすらと涙がこぼれ始めた。(編集済)
敷徳「なんか事情があるんでしょう。事件を解決すれば分かるように思います」
加奈「うううっ」
熊野「しかし正造と文也は親子ほど年が離れとる。友人と言うには不自然だのう」
熊野は県警に連絡し、文也に聞いてもらう事にした。(編集済)
熊野「県警の連絡から、最初に出会ったのは卓球関係のサークルでそこから親交を深めたようです。
ただここ最近は連絡が取れずにいると。」
敷徳「ここ最近…」
茜「ねえ真由子さん…どうして隔離なんてさせたの?」
真由子「子供売りは嫌だったから…
加奈に会いたくてもシク村長に止められて…信じてくれないわよね。
でも正次さんと加奈の3人で燻製のベーコンを作った事があったわ。」(編集済)
敷徳「事件の前日ですね。翌朝に正次は失踪してますから」
熊野「正次はシク村長たちに監禁されたんじゃないか。そこまでして会わせたくないのだから、加奈の本当の両親は一般人じゃないな」
敷徳「死体に外傷や薬物反応が無いので、正次に持病があったのかも。ショックを受けた顔で死んでたから心臓発作的な」
熊野「ショックを受けた状況…(一夫君が亡くなった時と似ているな。)」
敷徳「(シクトク病について気になる点があるのですが。
烏丸さんは接種後は落ち着いていたが、今日は何か支苛立っていたり、好戦的な部分が。)」
熊野「(確かに…あと加奈さんのワクチン接種後の状況も気になるが、それを知るのは…)」
敷徳と熊野は牧子の方を見るが、彼女は沈黙を保ち、茜の方を冷淡な眼差しで見ていた。
茜「あのさぁ…そもそも隔離していたのは何か理由があるわけ?
ねえ真由子さん、落ち着いたなら早く答えてよ。」
紗矢「さっきから何なのあなたは、いい加減にして。」
茜と紗矢がもみ合う中、茜の所持していたバックから手帳が落ち、近くにいた烏丸が取って手帳を開く。
烏丸「ごめんねドジなママで…一夫さんも泣いたまま…内容から事故による流産か。」
みちる「ねえ…何で読んでいるの…自分が何をしているか分かっているの?」
原田「ふざけるな…」
原田は烏丸を殴り周囲が抑えつつ、烏丸は倒れこみながらも冷酷な目で原田や周囲を見つめていた。(編集済)